【声明】日本マスコミ文化情報労組会議(MIC:新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)

MIC声明:「表現の不自由展」への妨害を許さない

公共の施設や空間で表現の機会を奪われた作品を集めて「消されたものたち」の権利と尊厳の回復を目 指す、という「表現の不自由展」が、各地で企画されている。

名古屋では、7 月 6 日から同展が開催されているが、開催前から会場の周辺で街宣車などによる妨害攻 撃が続いている。8 日に会場宛ての郵送物が破裂する騒ぎがあり、11 日まで施設を臨時休館することにな った。

大阪では、会場に予定していた府の施設「エルおおさか」が突然、安全確保を理由に会場貸出を認めな い決定を下した。同展の大阪での実行委員会は、裁判に訴えて会場使用を求めている。一方、東京では、 開催告知を始めた途端に、予定していた神楽坂のギャラリーに街宣車などが連日押し寄せて妨害行為を 行い、会場側が貸し出しを断念。東京展は開催の延期を余儀なくされている。

「表現の不自由展」は、戦争責任や天皇制、日本軍「慰安婦」問題、福島第一原発事故、沖縄の米軍基 地問題など政治的な題材をモチーフにした芸術作品が集められている。論争を生むこれらの問題はまる で「タブー視」されたり、センシティブな案件として扱われたりして、メディアでも積極的に取り上げら れない傾向にある。これらの問題を芸術作品の形で社会に問いかけ、人々に議論を促そうというのが同展 の趣旨だと考えられるが、これに「反日」などのレッテルを貼り付けて暴力的に妨害し、開催中止に追い 込もうとすることは、民主的な議論のプロセスを否定し、恐怖によって社会を支配しようとすることに他 ならない。

芸術表現の解釈は個人の自由であり、作品や展示に対して批判したり、議論したりすることは自由に行 われてよい。しかし、内容が気に入らないからと言って、展示を妨害して見せないこと、その存在をも消 し去ろうとすることは、断じて認められない。民主社会において、他者の表現を暴力で封じ込めることは、 絶対に許されないことだからだ。

そもそも公的施設を所管する行政組織は、憲法で保障された「表現の自由」とその多様性について保障 すべき立場にある。その行政組織が暴力的な妨害行為を非難せず、会場貸出を認めないという姿勢に転じ ることは、暴力的行為の助長につながりかねない。また、憲法を含む法を遵守し、国民のさまざまな権利 を擁護し国民の付託を受ける立場といった、行政自らの存在を否定することにつながる。あらゆる芸術作 品の展示や活動について、その内容を問わず、無事に開催できるかどうかは、私たちの社会の民主的成熟 度が問われていることだ。

芸術作品は、実物を鑑賞して、一人ひとりが主体的に判断できる環境を守るべきだと考える。メディ ア・表現に関わる職場で働く私たちは、企画展の実行委員会や将来を担う表現者たちと連帯して、多様な 表現や意見に寛容な社会であり続けることを強く訴えたい。「表現の不自由展」に対する暴力的な妨害に 抗議する。

以上 2021年7月8日

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)

(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)